そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎危機一髪!
意気盛んに喫茶店を飛び出したのはいいが、実は少し気になることがあった。
電車に揺られながらメモを何度も確認したけど、やっぱり間違いない。
ユウキとの待ち合わせ場所……それは、いわくつきのホテルだったから……
私が処女を捨てようとユミちゃんに男を紹介してもらい、あのキモいジョーと待ち合わせしたホテル。それも同じ一階のラウンジ。
―――なんだか嫌な予感がする。
いやいや、ただの偶然だよね……
気持ちを切り替え電車を降りホテルへ向かって歩き出す。
でも、緊張していたせいか、ホテルの回転扉をグルグルと三周もしてしまい何気に注目の的。
周りの人達の冷たい視線を感じながらラウンジを見渡すと、ジョーが座ってた席と同じ場所でユウキが手を振っていた。
なんだろう……この偶然。めっちゃ、縁起悪い……
「ごめん。待った?」
「いや、仕事が思ったより早く終わったからさ……あれ?子供は?」
「子供?あぁ、チビちゃんのこと?知り合いに預かってもらってる」
「なんだそうか~てっきり子連れだと思って、ゆっくり話せるように部屋を取ったんだけど……」
「部屋?」
おや?ユウキったらチビちゃんのこと考えてくれてたなんて気が利くじゃない。やっぱ、昔のユウキとは違う。
「キャンセルするのもなんだし、ルームサービスでも取って話そうか?」
うほっ!!ルームサービスなんて初めてだ!トレンディードラマの一場面のようじゃない!けど、相手がユウキだもんなぁ~…陸さんだったら良かったのに……
でもまぁ、今回は目的が違うから我慢するか……
「うん!いいよ」