そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

なんの疑いもなくエレベーターに乗り、点滅している数字を眺めていた私にユウキが話し掛けてきた。


「あの赤ん坊……鈴音と小林陸の子供なのか?」

「やだぁ~違うよー!陸さんの子だけど、私の子じゃないよー」

「へぇ~…て、ことは、小林陸はバツ1?」

「うぅん、結婚はしてないけど、チビちゃんを引き取って育ててるんだよ。彼、優しいから~」


私がそう言ったとたんユウキが呆れたような顔をしてボソッと言った。


「結婚もしてないのに子供を引き取るなんて……バカなヤツ……」


えっ?バカって……「ソレ、どういう……」


―――チーン……


私が言い終わらない内にユウキに腕を引っ張られエレベーターから降ろされた。


「部屋はこっち、行くよ」

「えっ?あ、うん……」


速足で歩き出したユウキの歩幅に着いていけず足がもつれる。


「ちょっと待って……もっとゆっくり歩いてよ……」

「ほら、入って」


強引に背中を押され部屋に入ると、今まで穏やかだったユウキの顔が一変し、気味の悪い薄ら笑いを浮かべた。


「どうしたの?ユウキ……」

「鈴音、相変わらずヌケてるな。……大人になっても全然変わってない」

「えっ?」


すっかりユウキを信じ切っていた私は意味が分からずポカーンと彼を見つめる。


「まだ分かんないのかよ?鈍感女!俺が小林陸を助けるようなことするワケねぇだろ?」


そう怒鳴ったユウキが私の体をベットに押し倒しニヤリと笑った。


「普通、ホテルの部屋へ誘われた時点で変だと思うだろ?ホイホイ着いて来る鈴音がアホなんだよ!」

「……まさか、私のこと騙したの?」

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