そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「いやぁぁぁぁーーっ!!」
恐怖でパニック寸前。それでも必死で腰を捻り自由になる足を上下に動かして精一杯の抵抗を試みる。
どうしよう……ユウキは本気だ。なんとかしないと本当に私は……
すると……
「うっ……ぐぐっ……痛って……」
偶然にも私の膝がユウキの股間に炸裂!これがかなりの衝撃だったようで、大きな体をくの字に曲げうめき声を上げている。
おぉ!今だ!!
転げ落ちるようにベットから逃げ出すと、一目散にドア目掛けて走り、背中を向けて手探りでノブを探す。でも、手を縛られてるからなかなかドアが開けられない。
あぁ~早くしないと……あっ!
―――カチャ……
開いた!!
なんとか脱出に成功し、裸足のまま廊下を全力疾走。エレベーターまで辿り着き、また手探りでボタンを押す。
でも……
「あぁーっ!!バック置いてきちゃったぁー!!」
あのバックの中には私の全てが入っている。財布はもちろんスマホも通帳も印鑑も……そして、お母さんの形見の私の小さい頃の写真も……
このまま逃げてしまったらユウキに捨てられるかもしれない。そんなことになったら……あぁ~どうしよう……
戻ってバックを取り戻そうか?でもまたユウキに捕まったら……
エレベーターが到着して扉が開いたけど、バックが気になっていた私はエレベーターに乗り込むことが出来なかった。
迷っている間にエレベーターの扉が閉まり下の階へと動き出す。
その時、背後で人の気配がして振り向くと、血走った目をしたユウキがジリジリと迫って来ていたんだ。
「鈴音~…随分なことしてくれるじゃねぇか……」
「ユウキ……」