そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「頼む~!やめてくれ~」


さすがのユウキも女王様には敵わなかったようで、どこから飛んでくるのか予測不可能なムチに翻弄されながら必死で逃げようとしている。


「もう勘弁して下さーい!」


涙目のユウキがそう叫んだと思ったら、丁度到着したエレベーターに駆け込み姿を消した。


九死に一生を得た私はその場にひれ伏し「有難うございます」と何度も頭を下げお礼を言う。


「気にすることないよ。このムチを一度、思いっきり使ってみたかったんだ。普段使ってるのは音だけは凄いけど、たいして痛くないからつまんなくてさぁ~

でもコレは本気で痛いヤツだから、今頃アイツ、体中ミミズ腫れになってるよ」


女王様は甲高い声で怪しく笑うと愛おしそうにムチを撫でまわす。


ひぇ~こわ~…


「それより、アンタはもう帰りな。ウロウロしてたらまたアイツが戻って来るかもしれないし」

「あ、でも多摩雄のおっちゃんが……もしかしたら骨折とかしてるかも……救急車呼びますか?」


まだ床に倒れ込んでるおっちゃんを指差すと、女王様はニヤリと笑い―――


「コイツは私が看病してやるから大丈夫だ」


そう言って負傷したおっちゃんの右足をピンヒールでグリグリ踏みつけるから流石のおっちゃんも堪らず悲鳴を上げる。


「ぎゃぁああ~!!!」


大絶叫するおっちゃんを見て、これが女王様流の看病なのかと言葉を失う。


「でも、その格好じゃマズいね。これ着ていきな」


縛られていた手を解いてくれた女王様が自分の着ていたジャケットを私の肩に掛け、おっちゃんの襟を掴んで歩き出した。


「行くよ!ブタ野郎」

「は、はい……女王様……」


おっちゃんが引きずられて行く……あんな状態でもプレーは続行なんだ……なんか凄過ぎてちょっとチビっちゃった……


恐るべし女王様……

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