そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

私に無理難題を押し付け「くれぐれも注意するように」と言ってイケメン弁護士は帰って行った。


そんなの言われなくても分かってるよ!それより、また悩みのタネが増えてしまった。オッパイを1000個売るより厄介な問題だ……


ばあちゃんと一緒に暮らせるのは嬉しい。でも、あの頑固なばあちゃんを説得するのは至難の業。ここに呼び寄せるなんて出来るんだろうか?


あぁ~どうすりゃいいのよ~


すっかり意気消沈していると、ユミちゃんがヒョッコリ顔を出す。


「鈴音っち、おかえり~。あれ?宅磨先生は?」

「……今、帰った」

「そう、宅磨先生ったら、なんだか凄くご機嫌斜めだったよ。鈴音っち、またなんかしでかした?」

「うん、実は……」


ユミちゃんにイケメン弁護士から出された条件を話すと―――


「なんだ~そんな条件ならいいじゃん!早く島のばあちゃんに来てもらいなよ~」とケラケラ笑う。


「でもなぁ~…ばあちゃんが東京に来るワケないし……」

「そんなの言ってみなきゃ分かんないじゃん!」


そりゃぁ~そうだけど……


困り果て大きなため息を付くと、カウンターの上にあったユミちゃんのスマホが鳴り出した。


「あ……」


ディスプレーに表示されたのは"陸君"の文字。


「はいは~い。陸君?大阪はどう?」


明るく話し出すユミちゃんを複雑な気持ちで見つめる。


「チビちゃんはもう寝たよ。で、明日帰るんだよね?分かった~。あ、鈴音っちここに居るけど代わる?……あ、そう……じゃあ明日……」


首を傾げながらスマホを切ったユミちゃんにすかさず訊ねる。


「あの……陸さんは、なんて?」


ユミちゃんはスマホをカウンターに置き「また明日帰る時に電話するってさ」そう言って上目遣いで私をチラッと見た。


「ねぇ、陸君となんかあったの?」


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