そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「……チビちゃんのことで陸さんを怒らせちゃったみたいで……」
私が真剣に理由を話してるのに相変わらずユミちゃんはニコニコ顔。
「ふーん、でも大丈夫だよ。明日帰って来る頃には陸君の機嫌も直ってるって!」
いつもはお気楽なユミちゃんの言葉にマインドコントロールされ「そうかも~」なんて思ってきたけど、今回ばかりはそんな気になれなかった。
だって、陸さんは相当怒ってる。その証拠に私じゃなくユミちゃんに電話してきたし……
そんな私の心配もユミちゃんには理解してもらえないようで「そんなことより、ばあちゃんを説得しなきゃ~」って、コロッと話題を変えられた。
仕方なく部屋に戻って島の師匠の家に電話をする。
島の家には電話が無いから師匠に伝えてもらおうと思ったんだ……
『あれぇ~鈴音ちゃんじゃない!久しぶり~どう?都会の生活を満喫してる?』
「満喫かぁ~…」
良くも悪くも、有る意味凄く満喫してるのかもしれない……
「まぁ、そこそこね……」
『そっか~、で、なんか用事?』
「うん、実はばあちゃんのことで……」
『静香さんのこと?丁度良かったよ。今、静香さんここに居るんだ』
「ばあちゃんが師匠の家に?」
どうやらばあちゃんは私が島を出てから一人で退屈なのか、ちょくちょく師匠の家に遊びに来ているらしい。
『今、代わるからね』
「えっ……ちょっと待って……」
そんな~まだ心の準備が出来てないのに~と焦りまくっていると―――
『鈴音かい?』
ばあちゃんが出てしまった。
「あ、うん……ばあちゃん元気?」
取り合えず当たり障りのない話しで誤魔化していたが、さすがにばあちゃんも変に思ったようで―――
『で、なんで電話してきたんや?』と突っ込んできた。
「それは~その~…ばあちゃんと東京で一緒に暮らしたいなぁ~って……」