そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
島での噂と全然違う!
顎が外れそうなくらい大口開けて呆然とボロビルを眺める。でも、ここまで来て引き返すワケにもいかず、渋々中に入り薄暗い階段を上がると"ビックワールドカンパニー"と書かれたドアを発見。
あ~ぁ、一流企業でOLするのが夢だったのに……何がビックワールドだ!しょぼいスモールカンパニーじゃん!一気にテンション下がった。
「失礼しまーす」
意気消沈しながらドアのノブを回し開けようとした。けど……
「あれ?開かない?」
建て付けが悪いのか?ドアが引っ掛かって開かない。仕方ないので渾身の力を振り絞りノブを思いっきり引っ張った次の瞬間、ふわりとした感覚と共にドアが開いた。いや……正確には、開いたと言うより、倒れてきたと言う方が正しい。
「うわぁーーー!!!!」
ガシャーン!!
「ひぃ~……っ」
危っぶね~……反射神経が悪かったらドアの下敷きになってお陀仏だった……東京に出て来ていきなりドアに潰され圧死なんてマジ笑えない。
冷や汗を拭きながらふと顔を上げると、ドアが無くなった部屋の向こうで1人の男達が目ん玉をひんむいて私を見つめている。
「あ、あはは……こんちは~……」
取り合えず挨拶してみた。
「君……誰?」
「はい、今日からこちらの会社にお世話になる事になりました小林 鈴音(こばやし すずね)申年生まれの21歳でっす!」