そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

あぁ……私の人生もここまでか……


この状態から私が助かる可能性は限りなくゼロに近い。


そう悟った私は覚悟を決めジョーを真っすぐ見つめた。


吹き抜けの天井から降り注ぐライトに反射してナイフがキラリと光る。


私の命を断とうとしてるその眩い光がとても綺麗で、なぜか恐怖を感じることはなかった。


もう少しで22歳だったのに……でも、大好きな陸さんを守って果てるなら悔いはない。


ど田舎の離島で生まれ育ち、ついこの間まで一生、島で暮らすんだと思ってた。


でも都会に憧れ東京に出て来て沢山の人と知り合えた。友達も出来たし、美味しいモノも食べることが出来た。そして、何より陸さんと巡り会えたことで私の人生は大きく変わった。


本気で人を愛することを教えてくれた陸さん―――有難う。


島に居たら、きっと私はこの素敵な感情を知ることはなかっただろう……


でも、ホントはね、もっと陸さんと一緒に居たかったよ。たまには私のこと、思い出してくれると嬉しいな……


大好きな陸さん……さようなら……


そして、島のばあちゃんに先立つ不孝を詫びソッと目を閉じると、ジョーが勢いよく腕を振り下ろす。


……終わった―――


そう思った時、何かが私の体に覆い被さり、耳元でうめき声が聞こえたんだ。


「な、何?」


驚いて目を開けると、目の前に眉間にシワを寄せ苦しむ陸さんがの顔があった。


「えっ?えっ?どうして?」


グッタリしている陸さんの背中を擦ると、生温かいモノが手に触れた。


まさか……これって、血?陸さん私をかばって刺されたの?


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