そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「陸さん!!どうして?なんでこんなこと……」


狂ったように叫び陸さんの体を抱き締める。


「……約束したろ?鈴音は……俺が……守るって……」


それだけ言うと陸さんの体がガクリと崩れ落ちた。


「陸さん……?陸さん?いやぁーーーっ!!陸さーーーん!!」


泣き叫び何度も陸さんの名前を呼んだが、陸さんは微動だにしない。


そんな……嘘でしょ?陸さん……死んじゃったの……?


呆然とする私の前でジョーがチッと舌打ちをし「勝手に飛び込んで来たコイツが悪いんだ」と吐き捨てるように言った。


そして「邪魔者は居なくなった、今度こそ覚悟しろ!」そう叫び再びナイフを振り上げる。


絶体絶命―――


私は咄嗟に陸さんの体を庇うように抱き身を屈める。


―――その時だった……


「姫!!」と呼ぶ声が聞こえ顔を上げると、ビルの玄関から雪崩のように人が押し寄せて来て、一瞬にして私達の周りをグルリと取り囲む。


それは完全武装した軍隊のようで、彼らの背中にはSATの文字が……


SATって、映画で観たことある。警察の特殊部隊だ。なんでそんな部隊がここに来るの?


ワケが分からず辺りを見回すと、彼らに指示を出していたのは警視総監のおっちゃんだった。


あぁーっ!あのアプリだ!ってことは、私を助けに来てくれたの?


でも、来てくれたのはSATだけじゃなかった。次に現れたのは、ストライプのスーツがよく似合うイカツイ面々の集団。どう見てもカタギには見えない。


玄関ホールはライフル銃を抱えたSATと、日本刀を持った任侠さんが入り混じり異様な光景が広がっていた。


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