そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
この現実離れした状況の中で、一番驚いていたのはジョーだろう。表社会と裏社会の絶対権力が同時に彼を標的にしているんだから……
SATは安全装置を外したライフル銃の銃口をジョーに向け。任侠さん達は日本刀を構えいつでも切りかかれる体制でジョーを睨んでる。
「ななな……なんだ……これは?」
ビビリまくるジョーの前に現れたのは、私のスーパーヒーロー小林組の組長、多摩雄のおっちゃんだった。
諸事情で右足を引きずっているところが少々痛々しい……
「また貴様かぁ~!!…我らの姫の命を狙うとは、ただでは済まさぬ!成敗してくれるわぁー」
「ひぃ~!!アンタ……あの時の……」
ジョーが言い終わらない内に多摩雄のおっちゃんの鉄拳がジョーの顔面に炸裂!
それが合図だったかのように警視総監のおっちゃんが「犯人確保!」と叫び、SATと任侠さんがジョーに飛び掛かる。
あえなくジョーは確保され、手には手錠が掛けられた。
だがしかし、ここで問題が発生したんだ。
警察と任侠さん、どっちがジョーを連行するかでモメ出した。
「なんで警察がコイツを連れて行くんだ?俺はコイツを東京湾に沈める!」
「多摩雄君、バカなこと言うんじゃないよ。コイツは陸君を刺したんだぞ。警察が逮捕する」
「い~や!こんなヤツは即刻成敗すべきだ!」
「そんなことしたら、君を逮捕しなきゃいけなくなるだろ?そうでなくても、その刀は銃刀法違反なんだから……」
「上等だ!出来るもんならやってみろ!!」
二人の会話を黙って聞いていた私の体は怒りに震えていた。
「ちょっと!!ジョーなんてどーでもいいよ!そんなことより救急車を呼んで!陸さんを助けてよー」
そう叫んだ私の後ろで聞き覚えのある声がした。
「大丈夫。このビルの隣は病院だ。今、院長に受け入れを頼んだから……」
あ……イカれたおっちゃん……