そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎衝撃の事実


大和商事の隣の病院は大きな総合病院で、陸さんは直ぐに手術を受け無事成功しICUに移った。


イカれたおっちゃんが言っていた通り、傷はそれほど深刻なモノではなかったようで、臓器にも損傷はなかった。


少しだけ面会を許された私はまだ麻酔から覚めない彼の手をギュッと握り何度も「有難う」と呟く。


陸さんが助けてくれなかったら、このベットの上に居たのは私かもしれない。うぅん、もしかしたら生きていなかったかも……


繋いだ手から陸さんの温かい体温が伝わってくるのを感じ、やっと安堵した私の目から涙が零れ落ちる。


「陸さん、痛い思いさせてゴメンね」


ICUを出ても暫くはドアの前から離れることが出来ずウロウロしていると、看護師さんに今日はこのままICUで経過を見るから付き添いは必要ないと言われてしまった。


さて、これからどうしようかと思案していたら、イカれたおっちゃんとの約束を思い出したんだ。


イカれたおっちゃんにも陸さんのこと報告しないといけないし……大和商事に行こっかな……


歩いて隣の大和商事へ向かいビルの中に入ると直ぐ、あの全く役に立たなかった警備員のおっちゃんが駆け寄って来て私に平謝り。


「申し訳ありません。僕が不甲斐ないばっかりに小林陸さんが刺されてしまったそうで……小林さんは大丈夫だったんでしょうか?」

「うん、傷はたいしたことなかったみたい。おっちゃんこそ頭大丈夫?」

「はい、ただの脳しんとうだったようで、もう大丈夫です」

「そう、良かったね」


なんて話していたら、見知らぬ女性が割り込んできた。


< 205 / 280 >

この作品をシェア

pagetop