そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「小林鈴音様でいらっしゃいますね?私、社長秘書をしております小林と申します。社長が鈴音様をお待ちです。どうぞこちらに……」

「はぁ……」


言われるまま秘書さんの後をついて歩きだす。


エレベーターの中で「秘書さんも小林さんなんですね」と言うと、振り返った秘書さんが「私も平島出身ですから」って、ビックリ発言!


こんな頭良さげな美人さんが平島出身だなんて……どこから見ても元田舎者とは思えない。


「社長は率先して島出身の者を採用していますので、大和商事には他にも沢山の島出身者がおります」

「へぇ~そうなんですか……」


って、そんならなんで私はビックワールドなの?もぉ~師匠~私も大和商事が良かったよー


不満タラタラでエレベーターを降り、廊下を少し歩くと立派な扉が見えてきた。


「失礼します。小林鈴音様をお連れ致しました」


重厚な扉が開き中を覗くとイカれたおっちゃんと意外な人物が私を待っていたんだ。


あ……女部長……


戸惑っている私にイカれたおっちゃんが陸さんのことを聞いてくる。


「陸さんは大丈夫です。手術も成功して今、ICUに入ってます」


私の言葉を聞き女部長がホッとしたように微笑む。


この人も陸さんのこと心配してたんだ……でも、なんで女部長がここに居るんだろう?


するとおっちゃんが、まるで私の心を見透かしたように女部長の方をチラリと見て話し出す。


「佐々木部長が姫と陸にとんでもない難題を吹っ掛けたそうですね?さっき、佐々木部長から全て聞きました。実にバカバカしい……」


そう言いながらおっちゃんが女部長をギロリと睨むと女部長はシュンとして下を向いた。


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