そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「……あの~ちょっと疲れてるからかなぁ~今、450万円とか聞こえなたんですが……」

『はい、450万円で御座います』

「……はぁ?またまたぁ~冗談ですよね?」

『いえいえ、とんでも御座いません!冗談抜きで450万円で御座います』

「アハッ……アハハハ……」


驚きの余り笑うしかない私に不動産屋さんは至って冷静に続ける。


『それと敷金とは別に仲介料と今月分の家賃で300万円。合計750万円で御座います』


御座います。御座いますって、何ふざたこと言っちゃってくれてるの?750万なんて大金どこにあるって言うの?


『本来なら入居前にお支払い頂くモノなので、出来れば10日以内にお振り込み願いたいのですが……』

「10日?えっと……それを払わなかったら……どうなるの?」

『そうですねぇ、お支払がなかった場合は残念ですがマンションを出て頂かないと……』

「ええっ!!ここを追い出されるの?じゃあ、私はどこに行けばいいの?」

『さぁ~そこまでは私も分かりかねますが……』


分からんとは何事だ!なんと無責任なヤツ!


自分で言うのもなんだが、こんなに可愛い清楚な乙女の私が路頭に迷い悪い奴らに騙され外国に売り飛ばされたら……どうすんの?


知り合いも居ない遠い国で一人、失意の中ボロボロになるまでコキ使われ、身も心も疲れ果て遠い日本を想い夜空を眺め涙する日々。


そんな時、偶然通りかかった石油王がキュートにな私に一目惚れ、強引に第3夫人とかにされたりしたら……


あ、それはそれでラッキーかも……?


いやいや!3番目なんてイヤだ!1番がいい!それに外人はちょっと……


「あの~私、日本人と結婚したいんですが……」

『……はぁ?』


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