そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎明らかになった関係
結局、ビックワールドを出た後、病院には行けなかった……
あんな話しを聞いてしまったからだろう。陸さんの顔を見るのが辛かった。
それに、こんな動揺しまくりな状態で陸さんに会えば、私は間違いなくボロを出していたと思う。
とにかく今は、真実を知る必要がある。
私はビックワールド近くのカフェに入りイケメン弁護士に電話した。
「弁護士先生と話しがしたくて……来てくれますか?」
泣きそうになりながら、必死で声を絞り出す。
『……分かりました。今、来客中ですので、一時間ほど後でしたら……それでもいいですか?』
「はい、待ってます」
スマホを切り大きなため息を付く。
「一時間か……」そう呟きメニューを広げた時だった。
入店してきた一人の男性客が私のテーブルの横で立ち止り声を掛けてきたんだ。
「おや?お母さんじゃないですか?」
「あ……警備員のおっちゃん」
「やっぱりお母さんだ!こんなとこで会うなんてビックリですねー」
確かにビックリだけど、今の私には警備員のおっちゃんとの偶然の再会を喜ぶ余裕などなかった。
「……ですね」と素っ気ない返事を返し、再びメニューに視線を落とす。
こんな時に、警備員のおっちゃんと世間話しなんてする気になれない。そう思ったのに、警備員のおっちゃんは断りもなく勝手に私の前の席に座り喋り出した。
「この前は大変でしたね~小林陸さんの具合はどうですか?」
「あ、うん……だいぶ良くなりました」
「それは良かった。でね、ビックリついでにもう一つ。あの事件があった三日後に、突然あの女性が大和商事に来たんですよー」
興奮気味に警備員のおっちゃんがそう言うが、ピンとこない。
「あの女性って、誰?」