そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
不動産屋さんとの電話が終わると間髪入れず島の師匠に事の真相を聞く為、電話した。
「あ、師匠?鈴音だけど……マンションの契約の件で聞きたいことがある……」
さっきの不動産屋さんとのやり取りを話すと師匠がいきなり電話の向こうで大絶叫!
『違う!違う!僕が契約したのは風呂無しトイレ共同の月3万のアパートだよ?そのマンションは、ちょっと興味があって見せてもらっただけで、契約なんて……あぁ!!』
「なんですか?」
『そのマンションの名前って……もしかして、モア・プリンセス?』
「はい。そーですけど」
『あちゃ~……契約しようと思ってたアパートがモア・プリンスだったから……間違えたかも……』
「はぁ?間違えたって……じゃあ、私はどーすりゃいいの?」
お口あんぐりの私に、師匠は『そこ凄くいいから住んじゃえば?』なんて笑いながらお気楽に言ってくれる。
「750万やで?どこにそんな金あるんや?」
怒り爆発で方言丸出し。
『じゃあさぁ、その不動産屋にモア・プリンセスに変えて貰うよう言ってみれば?でもさ、そんな部屋そうそう住めるとこじゃないし、期限の10日間だけ居座っちゃえば?』
「10日間だけ?」
『そーそー!こんなチャンスもう二度とないよ。10日間セレブ気分味わってからにしなよ』
「……なるほど」
確かに家賃150万のマンションなんて、この先住むことないだろうなぁ~……せっかくだし、10日間だけ住んじゃおうかな……
「分かった。そーする」