そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

ユウキの件も無事解決したし、そろそろ帰ろうと立ち上がった私の手をおっちゃんが掴む。


「せっかく来たんですからゆっくりしていって下さいよ。今から若い衆と焼き肉パーティーをするんですが、姫もご一緒にどうですか?」


なぬ?焼き肉パーティー?


さっきユミちゃんとオムライスを食べたばっかなのに、焼き肉と聞いただけでパブロフの犬みたいに条件反射でヨダレが垂れる。


「牛のベロはありますか?」

「タンのことですね?もちろんありますよ。最高Aランクの高級松阪肉ですから間違いなく旨いですよ」


最高&高級ときたらウマいに決まってる。島へ帰れば牛なんて食べれないだろうし、悔いを残さない為にもここはご馳走になるしかない。


でも、まだ荷物の整理が終わってないからあんま遅くならないよう食べるだけ食べて適当なところで帰ろう。


―――そう思ったのに、牛があまりにも美味で箸が止まらない。おまけに勧められた冷酒がフルーティーでめっちゃウマい。


「おい、姫のグラスが空っぽだぞ。お酌しろ!」

「おっちゃん、もういいって~私、帰らないと~ウップ」

「何言ってるんですか?まだ8時ですよ。ほらほら飲んで下さい。ロースも焼けてますよ」

「まだ8時か~…じゃあ、もうちょっとだけ」

「そうこなくっちゃ~」


勧められるまま飲んで食って大騒ぎ。



―――で、その結果……


「んんっ……ここは……どこ?」


目を覚ました後も暫くの間ボーッと天井を眺めていたが、隣に寝ているのが多摩雄のおっちゃんだと分かった瞬間、驚いて飛び起きた。


見れば若い衆さん達も酔い潰れて眠ってる。


「ゲッ!!ここ、多摩雄のおっちゃんの事務所じゃない!私、酔って知らない間に寝ちゃったんだ……」

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