そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎デンジャラスな結末
―――お客さんなんてが来るはずない。おそらく扉の向こうに居るのは陸さんだ。
そう思った私は扉が開く数秒の間に頭の中をフル回転させ言い訳を考えていた。
でも、その予想は見事にハズれ、入って来たのは……
「姫、その荷物は?どこかへお出掛けですか?」
「多摩雄のおっちゃん……」
あぁ~…めっちゃ間が悪い。
「う、うん、ちょっと……悪いけどそういうワケだから、占いはまた今度……」
なんとかシドロモドロで誤魔化し、喫茶店を出ようとしたら、多摩雄のおっちゃんの後ろで声がした。
「また今度とは……いつですか?」
この声は……イカれたおっちゃん……
私を喫茶店の中に押し戻し扉を閉めたイカれたおっちゃんが怖い顔して言う。
「まさか、ここを出て行くつもりだったのでは?」
ズバリ言い当てられ私は驚きを隠し切れない。
「どうして……それを?」
「やはりそうでしたか……多摩雄君から姫の様子がおかしいと連絡を受け、心配になって来てみたんです。もしかして、陸と何かあっとか?」
ドキッ!!
「小林ユウキに説教したそうですね。その時、妙なことを言ったそうじゃないですか。好きでも別れなくてはいけないとか……」
「あ……」
あの時、多摩雄のおっちゃんのこと上手く誤魔化せたと思っていたけど、全然、誤魔化せてなかったんだ。
「陸は姫に何をしたのですか?」
「違います!陸さんは何もしてない……」
「じゃあ、なぜここを出て行こうとしたのですか?」
もうこれ以上隠しても仕方ない。本当のことを言って納得してもらおう。
「それは……」