そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「バカなことを言わないで下さい。祖父は生きてますよ」
そんなぁ~…確かにばあちゃんは死んだって言ったもん!葬式は本土に居る子供のとこでしたからって……
ばあちゃんたら、お母さんのことと言い、いったい何人勝手に殺してるんだ……
「でも、トメキチじいちゃんの体調が悪くなったことが、このこととどう関係してるんですか?」
「おそらく鈴音さんはご存じないでしょうが、その昔、祖父と静香さんは恋人同士だったのです」
「うっそー!!あのトメキチじいちゃんと私のばあちゃんがー?あんなに仲悪かったのに?」
ビックリ仰天で腰が抜けそうになる。
「それは、悲しい恋物語……」
イケメン弁護士の説明はこうだ……
ばあちゃんとトメキチじいちゃんがまだ10代の頃、二人は愛し合っていた。けど、昔は親が決めた相手と結婚するのが習わしで、トメキチじいちゃんには許婚(いいなずけ)が居た。
ある日、ばあちゃんとトメキチじいちゃんとの仲を知ったトメキチじいちゃんの親が激怒して二人を別れさそうとしたそうだ。
それで許婚の娘とじいちゃんの顔合わせが行われた。でもじいちゃんは自分が好きなのはばあちゃんだけだから、顔合わせが終わったら二人で島を出て駆け落ちしようと言った。
じいちゃんの言葉を信じ、港でじいちゃんが来るのを待ち続けたばあちゃん。
けど、じいちゃんはいつまで待っても現れなかった……
「えっ?どうしてトメキチじいちゃんは来なかったの?」
「それはですねぇ……」
イケメン弁護士が言いにくそうに頭をポリポリ掻く。
「顔合わせに現れた許婚があまりにも美しくて、祖父はスケベ心を出してしまったのです」