そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
はぁ~?なんちゅー自分勝手なじいちゃんだ!ばあちゃんの気持ちはどうなるのよ!
「そんな祖父も年を取り、すっかり弱ってしまいまして、とうとう倒れてしまった。東京の病院にヘリで運ばれて来た時はもうダメかと思いました。
しかし、なんとか命は取りとめたものの、今度は静香さんと離れてしまったことで鬱になってしまいまして……
一日中、静香さんの若い頃の写真ばかり眺めて過ごしていたのです。
さすがに可哀想になり、なんとかしてやりたいと思ったのですが、祖父が島で一人で暮らすのは無理。それで家族会議を開き議論を重ねた結果、静香さんにこっちに来てもらおうということになったのです」
「なったのですって……だから私に早くばあちゃんをこっちに呼べってうるさかったの?」
「そういうことです」
あぁ~目的はばあちゃんだったのか……って納得したけど、なんか引っ掛かる。
「そのことと、お母さんが死んだって嘘がどう繋がるんですか?」
「それは、ただお願いしただけでは、静香さんはここに来てくれないと分かっていたから……」
―――私を利用しよう考えたらしい……
まず私を東京に来させて、私がばあちゃんをここに呼び寄せるというシナリオが出来た。
それは驚くほど巧妙な罠だった。
丁度その頃、島へ帰るというお母さんの同級生の師匠に、私が東京に憧れを持つようにしてくれと頼んだ。
その作戦にまんまと引っ掛かった私は東京に憧れ上京する。そして師匠がワザと間違えて契約した高級マンションに住み高額な家賃が払えないようにする。
「実は、あのレインボー不動産の虹川さんも島出身で、琴音さんの同級生だったのです。彼にも一芝居打ってもらったってワケです」