そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「太一郎さんは、島出身者を影で助け支援していたのです。太一郎さんが大学の学費を援助してくれなかったら、私は弁護士にはなれになった。
だから太一郎さんが必要としてる占い師の存在を無くすワケにはいかなかったのです」
つまりそれは、秘密結社の人達が一致団結する為に導く人が必要不可欠だったということ。
小さな田舎の島から上京して来た者が東京で成功を収めるのは至難の業。その為には皆で協力し、情報を交換して助け合わなければならなかった。
だから源氏という敵を作り、御先祖様である平家の世を作るという同じ志を持たせた。
全ては平島の為……古里の人々の為……皆が一つになり絆を深める為。
それには信頼出来る占い師の言葉がどうしても必要だった。皆を結び付ける言葉が……
「その大役を担っていたのが琴音さんだったんですよ」
今まで黙っていたイカれたおっちゃんが低い声で話し出した。
「この作戦を聞いた時、私は反対したんですよ。琴音さんが居なくなれば皆が動揺すると……しかし琴音さんは自分の代役を用意しているから大丈夫だと言った。
だから私や多摩雄君が協力して姫を琴音さんの後継者にしたんです」
「…………」
なんだか私、いいように使われてるような気がする……
そしてイケメン弁護士が再び口を開く。
「太一郎さんに助けられていたのは私だけじゃない。琴音さんも陸も……そして、菜月も……」
「えっ……菜月ちゃん?」
その時、私はやっと気付いたんだ。スタイルのいい茶髪の女性が誰なのかを……
「鈴音ちゃん、思い出してくれた?菜月だよ」
「あぁ……菜月ちゃん……」
「やっと会えた……」
よく見れば面影がある。あの夏に出会った大切な私の友達……菜月ちゃん。