そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

私達は抱き合い再会を喜ぶ。


「あ、でも、菜月ちゃんはアメリカに行ってたんじゃ……」

「うん、さっき日本に到着したばっかなの。鈴音ちゃんに会えるって宅磨君に聞いて、琴音さんと飛行機の中で興奮しまくりだった」


んっ……?


「ってことは、お母さんも菜月ちゃんと一緒だったってこと?」

「そうだよ。私と琴音さんは一緒にアメリカへ行ってたんだよ」


菜月ちゃんの話しによると―――


私を東京に呼ぶ作戦がスタートした時、菜月ちゃんがダンスのオーディションに合格し、ラスベガスのショーに出ることになった。


私を騙す為、姿を消さなければならなかったお母さんは菜月ちゃんとラスベガスに行くことにしたそうだ。その資金として銀行から5千万借りて……


「はぁ?じゃあ、あのお母さんの5千万の借金って……その為に借りたモノだったの?てか、なんでそんな大金必要だったの?」


するとお母さんが悪びれる様子もなくアッケラカンとした顔て言う。


「ラスベガスと言えばカジノでしょ?3ヶ月もカジノに通うにはそのくらいの軍資金が必要だったのよ~。でも、残念ながら全部スッちゃった」

「へっ?博打で5千万がパア?」

「えぇ、ラスベガスで一旗揚げようと思ったのに……残念だわ」


私が東京に出て来る時、ばあちゃんに餞別の1万円を一旗揚げて百倍にして返せと言われたけど、5千万とは……スケールが違い過ぎる……


「琴音さんはね、賭け事が大好きだから~」


そう言って笑ってる菜月ちゃんの神経も理解出来ない。


呆れてポカーンとしていたが、私はある重要なことに気付き「あっ!」と声を上げた。


ちょっと待って……私のお母さんが生きてたってことは、あの話しも違ってくる……


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