そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「あの……菜月ちゃん、聞きたいことがあるんだけど……」
「うん、何?」
「菜月ちゃんのお兄ちゃんって……誰?」
そうなんだ。陸さんの両親が亡くなってるって聞いたから、私は陸さんがお兄ちゃんだと思った。けど、お母さんが生きてってことは……
「私のお兄さんは……」
菜月ちゃんがそこまで言い掛けたところでユミちゃんがチビちゃんを連れ帰って来た。
「ただいま~…あれ?もう陸君帰って来てたの~」
「あぁ、ユミちゃん、色々迷惑掛けてすまなかった」
「うぅ~ん、全然だよ~ほら、チビちゃんに会いたいと思って保育園に寄って連れて来たんだ~抱っこしてあげて」
陸さんにチビちゃんを渡しキョロキョロ辺りを見渡したユミちゃんがボソッと言う。
「ねぇ、チビちゃんのママって、この人?」
ユミちゃんが指差したのは、菜月ちゃん。
「あ、ユミちゃんさん、この人はいつか私が話した友達の菜月ちゃんで、チビちゃんのママじゃ……」
「そうだよ」
「えっ?」
「私がこの子のママだよ」
菜月ちゃんがニッコリ笑って陸さんからチビちゃんを受け取ると愛おしそうに頬づりしてる。
「えっ?えっ?えっ?」
陸さんの方を向き、どういうことだと尋ねるたら、平然とした顔で「何が?」って聞いてくる。
「何がって……チビちゃんは陸さんが酔った勢いでヤっちゃった処女の女性が産んだ子供なんじゃあ……」
「お前なぁ~…」
顔をヒクヒクさせながら陸さんが私の頭をポコンと叩く。
「そんな御丁寧な説明いらねぇんだよ!それに、あれは間違いだったんだ」
「間違い?」
「あぁ、あの処女の女は妊娠なんかしてなかったんだ。想像妊娠だったんだよ」
想像……妊娠?