そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「じゃあ……チビちゃんのママは……」
「だから菜月だって言ってるだろ?」
「えぇーっ!チビちゃんは陸さんと菜月ちゃんの子供なのぉ~?」
新たな衝撃に仰天し絶叫する私とは対照的に、他の人達はなぜか大爆笑。
「俺は一度もチビが自分の子供だなんて言った覚えはないぞ」
「えっ……」
「ったく……なんでチビが俺と菜月の子なんだ?そんなのあるワケないだろ?菜月は俺の妹なんだぞ」
「菜月ちゃんが……陸さんの……妹……?」
「鈴音は俺が自分の兄貴だと思ってたんだろ?」
「う……ん」
心の中の蟠(わだかま)りが一気に晴れ、安堵感が広がる。
私は、陸さんの妹じゃなかったんだ……
優しく微笑む陸さんの胸に飛び込み彼の体を力一杯抱き締める。
あぁ……陸さん……陸さんのこと諦めなくていいんだよね?好きのままでいいんだよね?
嬉しくて……死ぬほど嬉しくて踊り出したい気分。
でも、こっちを睨んでるイケメン弁護士の顔が視界に入った瞬間、私はあの言葉を思い出し体が固くなる。
私と陸さんの血が混じることは許されないというあの言葉の意味は……
「弁護士先生……私と陸さんの間には何があるの?兄妹じゃないのに、どうして禁断なんて言ったの?」
陸さんの心臓が大きくドクンと音を立てたような気がした。
「それは……陸が平島の人間ではなく、源氏の末裔だからです」
「えっ……」
「菜月の母親が久美さんだということは知っていますか?」
「はい……」
「久美さんは東京で出会った男性と恋に落ちた。しかし、その男性は離婚をしていて子供が一人居た……
でも久美さんは男性との結婚を決め島のトメキチさんに彼を紹介したんです。
男性は人柄も良くトメキチさんは結婚を承諾しようと思ったそうです。しかし男性がとんでもないことを言い出した。
彼はトメキチさんに、自分は源氏の武士の子孫だと自慢げに話し出したのです」