そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「源氏の子孫……」

「鈴音さんも御存じでしょ?我々は源氏に滅ぼされた平家の末裔。源氏は宿敵です。

トメキチさんは恐れおののき結婚を反対した。自分の身内から裏切り者を出すワケにはいかないと思ったのです。

しかし久美さんは納得せず、東京に戻り男性と結婚してしまったのです」

「じゃあ、その男性の連れ子っていうのは……」

「そう……陸です。陸は源氏の血を引いているのです。そのことを知っていながら陸は鈴音さんに手を出した。これは許されないことです」


それがイケメン弁護士の言う禁断?血が混じることが許されない理由?


……アホくさっ!


でも、ここに居る人達にとっては、すんごく重要なことなんだろうなぁ~


唇を噛み俯く陸さんの苦悩に満ちた表情が全てを物語っている。


すると多摩雄のおっちゃんが明るい声で「別にいいんじゃないですか?」って言ったんだ。


「な、多摩雄さん、何を言ってるんですか?鈴音が源氏の陸と結婚なんてことになったら、他の皆さんがどう思うか……」


反論するイケメン弁護士に、今度はイカれたおっちゃんが諭すように言う。


「君の気持ちは嬉しいが、それでは陸と姫が可哀想だ。このことを知っているのはここに居る者だけ。私達さえ黙っていればバレることはない。

私はね、大和商事で陸が姫を庇って刺されたのを見た時、思ったんだよ。姫を守れるのは陸しか居ないと……

宅磨君、君も姫の幸せを願っているんだろ?」


おっちゃん……


「もちろんです!私も鈴音には幸せになってもらいたいと思ってます。ですから反対してるのです」


しつこく食い下がり一歩も引こうとしないイケメン弁護士。


「君も強情だねぇ……」


イカれたおっちゃんが呆れ顔でため息を付く。


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