そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「宅磨君、実は私もね、若い頃、よく似たことがあったんだよ。
とても好きだった女性と公園でチチクリ合っていたら、ヤバそうな男が近づいて来て金を出せとナイフをチラつかせたんだ。
私は女性を守ろうとしたが、怖くなって女性を置いて一目散に逃げ出した。いや~あの時はホントに怖かったよ」
笑いながら話すイカれたおっちゃんにドン引き!
「おっちゃん……女性を置いて逃げるなんて、最低っ!!」
「だって、怖かったし……だから陸の行動には感動したんだよ。なかなか出来ることじゃない」
イカれたおっちゃんのお粗末な昔話しを聞いてもイケメン弁護士は納得いかない顔をしてる。
するとお母さんがニヤニヤ笑いながらイケメン弁護士の背中をツンツンする。
「ねぇ、宅磨、アンタ、そんなにムキになって反対するのは、ヤキモチ焼いてるからなんじゃない?」
「な、なんで私がヤキモチなんて……」
「鈴音を陸に取られるのがイヤなんじゃないのぉ~。アンタ、鈴音が可愛くてしょーがないから~。
もういい年なんだからシスコン卒業しなさい。そんなに反対してたら鈴音に嫌われちゃうわよ」
あぁっ!!私、大切なことを忘れていた。陸さんがお兄ちゃんじゃないってことは、イケメン弁護士が私のお兄ちゃんなんだ……
「……お兄ちゃん」
私がそう呼ぶと、イケメン弁護士が切なそうな顔をする。
「そうです。私が鈴音の兄です……これからは兄である私と一緒に暮らしましょう」
「あ……」
「あんなにお兄ちゃんに会いたいって言ってたじゃないか。これからは私がずっと鈴音の側に居るから……陸とは別れてくれ」
イケメン弁護士の気持ちは嬉しいけど……
「それは……無理」