そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「ハズレたって……何が?」
不思議に思いそう聞くと、ばあちゃんの後ろから師匠がヒョッコリ顔を出す。
「あ、皆さんお揃いで……どうも御無沙汰でした。実は、静香さんが妙な夢を見たらしくて、どうしても鈴音ちゃんのことが心配だから会いに行くと言うのでお供して来ました」
「夢?」
「なんでも、鈴音ちゃんが病院のベットで寝ている夢だったそうで、死んだように動かなかったっと……」
死んではいないけど、確かに過労で倒れて入院してたと言うと、ばあちゃんは「やっぱり!」って叫び得意顔。
「昔からワシの夢は絶対当たるんや。どうだ?明、凄いだろー」と師匠に自慢してる。
そんな自慢をする為だけにここに来たのかとたまげていたら、トイレに行きたいと騒ぎだす。
「ばあちゃん、あのドアがトイレだから……」
もう、手が焼けるばあちゃんだ。
ばあちゃんをトイレに押し込み皆の所に戻ると、何やらボソボソと話しをしてる。
「師匠、何話してるんですか?」
「あぁ、鈴音ちゃん、ここに居る人達に聞いたと思うんだけど、トメキチさんの話し静香さんにしたんだよ」
「えっ、そうなの?」
「うん、もちろん皆でグルになって静香さんを東京に呼ぼうとしてたってことは言ってないけどね……」
師匠の話しでは、初めはトメキチじいちゃんの話しなんかするなって、凄く怒ってたばあちゃんだけど、段々様子が変わってきて、自分から色々聞いてくるようになったそうだ。
そして、トメキチじいちゃんがばあちゃんに会いたがっていることを知ると、ありえないくらい動揺してたらしい。
で、数日後、突然私の夢を見たから東京に行くと言い出した。