そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「僕が思うに、鈴音ちゃんのことは口実で、ホントはトメキチさんに会いたくなったんじゃないかと……」
「て、ことは……ばあちゃんもまだトメキチじいちゃんのことが好き?」
微笑ましい話しだけど、なんか二人がイチャイチャしてるとこを想像すると、ちょっと気味が悪い。
「とにかく理由はどうであれ、静香さんがここに来てくれたことは良かった」
イカれたおっちゃんの言葉に皆が大きく頷く。
でも、ばあちゃん遅いなぁ~まさかトイレで倒れてるとか?
心配になりトイレのドア越しに声を掛けると、ばあちゃんが見覚えのある白い箱を小脇に抱えて出てきた。
その箱って、もしや……
驚いたのは私だけじゃなかった。イカれたおっちゃんが顔面蒼白で駆け寄って来る。
「静香さん、それは大切なモノです。どうかお返し下さい」
「大切なモノ?」
「はい、それは我々の宝です」
するとばあちゃんがあり得ないことを言ったんだ。
「これ、十二単の姫様やろ?困ったもんや、こんな小さな箱に押し込めて。窮屈やから出して欲しいってさ」
そう、その箱には、例の生首もどきが入っていたんだ。
「おっちゃん、生首をトイレに置いてたの?」
「バカなことを……トイレなんかに置く訳ないでしょ?占い部屋の神棚に祭ってあったのに……どうして?」
えっ?ってことは、ばあちゃんは占い部屋を見つけちゃったってこと?あの隠し部屋を……
全員が驚いていたが、当のばあちゃんは「夢で見たでな!」って、涼しい顔で笑ってる。
「夢で?」
「あぁ、ワシにはなんでもお見通しさ。先日、夢に出てきた姫様が、暗くて狭い箱に入れられてる。出してくれと泣いていたから気になっとったんや」