そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「さてと……それじゃ、そろそろ……」
そう言ったばあちゃんが、大事そうに抱えていたあの箱から生首姫を取り出しテーブルの上に置く。
ウゲッ!!何度見ても気持ちワル~
ちょっと引き気味にその様子を窺っていると、お母さんが「あっ!」と小さな声を上げた。
「その顔……似てる」
「似てるって、誰に?」
「母さんの若い頃の顔にそっくり……」
てことは……ばあちゃんが生首姫に似てるってこと?
それを聞いたイカれたおっちゃんが騒ぎだす。
「もしや……その不思議な能力といい、鈴姫様の生まれ変わりは静香さんなのでは……」
「生まれ変わり?そう言えば、夢の中で十二単の姫様がそんなこと言ってたなぁ~」
ばあちゃんの一言で、イカれたおっちゃんと多摩雄のおっちゃんが大興奮!
「おぉ!静香さんが鈴姫様の生まれ変わりに間違いない!これは平島のメンバーに報告しなければー!!」
てなワケで、集まって来た秘密結社の人達で喫茶店は満員御礼。お決まりの酒盛りが始まってしまった。
皆にチヤホヤされてるばあちゃんを横目に、私はお母さんとカウンターに座り色んな話しをした。
離れていた21年間の空白を埋めるように、お互いの思いを語り合った。
お母さんは陸さんの母親、久美さんが病気で亡くなる時、彼女に約束したそうだ。
これからは私が陸さんと菜月ちゃんの母親になって二人を幸せにするって……
「久美との約束が守れて良かった。菜月は夢を叶えられたし、鈴音と陸は結婚する。肩の荷が下りたわ」
安堵の表情でビールの入ったグラスを傾けるお母さんに、私はあの疑問を投げ掛けてみた。
「そう言えば、私のお父さんは車の事故で亡くなったんだよね?陸さんと菜月ちゃんのお父さんも同じ。そんな偶然あるのかな?」