そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

お兄ちゃんのその言葉は私の胸に大きく響いた。


「そうだよね。親子は一緒に居ないとね。チビちゃんもパパとママと暮らす方が幸せだよね」

「えぇ、そうですね。私も鈴音と一緒に居たかったですから……」

「私もです……」


私はお兄ちゃんの肩におでこを乗せ、ちょっと甘えてみた。


するとお兄ちゃんが「やっぱり、抱き枕より本物の鈴音の方がいいですね」なんて言う。


「あの……申し訳ないんですが……抱き枕は捨ててくれますか?」

「何を言うんですか?それだけはお断りです!」


お兄ちゃん……やっぱ、それ……キモイ……




―――その後、宴会は夜まで続き、ばあちゃんは旅の疲れが出たのか、ヘロヘロになりながら私の隣にドカリと座る。


「鈴音、東京は意外と楽しいとこやな」


私はニッコリ笑い「うん」と答えると、ばあちゃんは少しモジモジしながら「明日、トメキチに会いに行くよ」って言ったんだ。


「時間が掛ったけど、ワシもやっと決心した。自分の気持ちに素直になろうと思ってな」


って、ばあちゃん、時間掛り過ぎでしょ?トメキチじいちゃんと別れて……40年?いや、50年以上か?


「それも夢のお告げ?」

「いや、不思議なことに、トメキチの夢は一度も見なかった。きっと自分で確かめろってことやったんや」

「でも、夢のことは他言無用とか言われてたのに、あんなにベラベラ喋っちゃて良かったの?」


ちょっと心配になりばあちゃんの顔を覗き込むと、ばあちゃんは不敵な笑みを浮かべる。


「子孫繁栄の為、話すことを許されたんや」

「……それ、どーゆー意味?」

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