そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎そして、こーなる!
――――レインボー不動産
「残念ですが、ご希望に添う物件は見当たりませんねぇ~」
「マジですか?」
新製品のことで頭が一杯だった私は、マンションの敷金諸々の支払い期限が今日というのをすっかり忘れていたんだ。
師匠が契約しようとしていたモア・プリンスは既に他の誰かが契約済みで、同じくらいの家賃の物件を探してもらったが見つからなかった。
どうしよう……明日から住むとこがない……
「あの~他のマンションを探すということは、現在お住まいのモア・プリンセスの方は契約解除ということになるんでしょうか?」
「あ、はい……色々考えたんですけど、やっぱり750万は無理っぽくて……」
考える余地など全くなかったが……
「さようですか~でしたら本日までの10日分の家賃だけお支払い願いたいのですが、日割り計算で1日5万円として10日で50万円になります」
「はぁ~!!!50万?冗談はよし子さんですよー!なんでそんな大金払わなきゃいけないの?」
すると、今まで穏やかだった不動産屋さんの目が鈍く光り、見る見る内に般若のような顔に変貌していく……
「10日間、住んでましたよね?」
「は……い」
この時点で私はかなりビビッていた。
「住んでたならその間の家賃を支払うのは当然のことでしょ?もし、払わないということになれば……」
「……なれば?」
生唾をゴクリと呑み込み聞き返すと、不動産屋さんはドスの効いた低い声で一言「訴えます」そう言ったんだ。
「ひぃ~っ!!」
そんなぁ~……私、東京に出て来てわずか10日で罪人ってこと?