そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
えらいことになった……。
逃げる様に不動産屋を出るとすかさず師匠に電話をした。が、しかし、こんな時に限って全然出ない。
「どうしよう……どうしよう……」
こうなったら仕方ない。社長を頼ろう。
そう判断した私は会社に電話をし、事情を説明して社長に50万貸してくれと懇願した。でも社長の答えは……
『鈴音ちゃん、それは無理な相談だよー』
「なんで?オッパイが売れたら給料100万なんでしょ?だったら前借りしてもいいじゃないですかー!」
『それは売れたらの話しで……今はお金なんてないよ~』
「じゃあ私はどうすりゃいいの?逮捕されるかもですよー!!それに今日中にマンションを出ろって言われてるし……」
社長とのやり取りが暫く続いたが埒が明かない。取り合えず今夜は会社に泊めてくれと頼んでみる。
『それはいいけど、ドアのない部屋じゃ物騒じゃない?鈴音ちゃんさえ良ければ僕のアパート来る?でも布団一組しかないからね~あ、一緒に寝る?』
「お断りです!!!」
そんな提案却下に決まってる。何が悲しくて社長と一緒に寝なきゃいけないの?そんな拷問耐えられない。まだドアのない会社の方が100倍マシだ!!
ということで、マンションに戻り荷物をまとめることにした。
荷物と言っても風呂敷包み一つだからどうってことはない。10分で支度を済ませ部屋を出ようとしたら……
――――チャイムが鳴る。
訊ねて来る人など居ないはずなのに……とモニターを覗き込みギョッ!とした。だって、見たこともないスーツ姿の男の顔が画面に映っていたから……
ゲッ!!もしかして……警察?もう逮捕しに来たの?