そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「この飴は我が社の大ヒット商品で、今でも一番の売れ筋。そしてこっちは、オッパイの形をしたマシュマロ。これはイマイチ売れなくて……。で、こっちは……」
いつまで続くんだ……このしょうもない商品説明……
「……それで、私はどんな仕事をしたらいいんですか?」
興奮気味に説明していた社長が我に返った様に顔を上げ、小さく咳払いをするとニッコリ笑う。
「そうだね~取り合えず、新しい商品開発に参加してもらおうかな?エロ心をくすぐるような大胆な企画を頼むよ」
「エロ……心?」
「そう!エロ心……それは即ち、誰もが持つ異性を求める本能。この地球に人類が誕生して以来、脈々と続いてきた子孫を残す為の必要不可欠な感情。それがエロ心だ。
現在、日本では少子化が叫ばれている。晩婚化に女性に興味を示さないへなちょこ男子などなど理由は多々ある。
しかし、本来我々が持っているエロ心をいい具合に刺激してやれば男女の営みが増え必然的に子供は増える。我々の肩には今後の日本の将来をも左右する……」
「――――その話し、まだ続くの?」
社長の熱弁を遮ったのは、背後からの低い声……慌てて振り返るとそこには、背の高いスーツ姿の男性がふてぶてしい顔をして立っていた。
私と同じ事を思っていた人が居たことに、何気に感動!
「あ、陸(りく)君、いらっしゃいませ~」
男性に気付いた社長の声色が突然変わり、ハエみたいに手を擦り合わせ超低姿勢だ……
「で、約束の試作品は出来てるの?」
「いやぁ~もちろん出来てますよー出来てるんですが……あいにく泥棒に入られまして、どうも試作品を盗まれたみたいで……。ほら、そのドアを破壊して侵入したらしくてですねー…」
はぁ?泥棒?