そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「よっぽど好きなんですね……焼き肉」
「へっ?」
「食べる前からヨダレ出てますよ」
ハッ!!なんてこった。無意識にヨダレが垂れてた……でもこのヨダレは焼き肉じゃなくイケメン弁護士に見惚れていたからだなんて言えない。
そう……私は罪人、彼は弁護士。禁断の恋だから……
なんて、おせんちになっていると車が静かに止まり彼が助手席のドアを開けてくれた。
連れられた店は、これまた高級そうな焼き肉屋さん。社長達と行った店とは全然違う。案内された席は落ちついた感じの個室で私達は向き合って座った。
「話しは食べてからにしましょう。好きなモノを注文して下さい」
「あ……あの、弁護士先生のお勧めでお願いします」
「あ、そう……ここは塩タンが美味しいから食べてみます?」
「は、はい。で、タンとは?」
一瞬、「んっ?」って顔をしたイケメン弁護士。でも親切丁寧に説明してくれたんだ。
「タンは牛の舌です。独特な触感でレモン汁で食べると美味しいですよ」
「えっ?舌って……ベロのこと?」
「あ、そう……ベロともいいますね」
ウゲッ!!牛のベロなんてキモッ!!東京の人はゲテモノ食いなのか?なーんて思ってたけど……私の先入観は再び覆された。
「ウマい!!このベロめっちゃウマい!!」
「そうですか……それは良かった」
イケメン弁護士のことなどそっちのけでベロを焼きまくり口に放り込む。気付けば5人前を完食。その後もジューシーな高級ロースとやらを一人で食い散らかし大満足。
「ウップ……もう限界~食べられませーん。弁護士先生は食べないんですか?」
「私は結構です。では、満足してもらえたようですし、本題に入りましょう」