そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

おにいちゃんの話しを聞く前にお母さんに似てると言われていたら、きっと私は飛び上がって喜んでいたと思う。でも……


「じゃあ、お兄ちゃんは、私と会いたいとは思ってくれないでしょうね……」


泣きそうになりながら震える声でそう訊ねると、イケメン弁護士が突然私の手を握り「きっと会えますよ。今は待ちましょう……」そう言って優しく微笑んだんだ。


ドキン!!


その澄んだ瞳は反則だ……


「弁護士先生……」

「大丈夫ですよ。鈴音さんの気持ちはお兄さんにお伝えしておきます。希望を持って待ちましょう」


色んな想いが入り混じり胸が締め付けられる。そしてイケメン弁護士の優しさに涙がポロリ……


「……はい。有難うございます」


するとハンカチを私に差し出しながらイケメン弁護士が言う。


「それで、遺産相続の件ですが、どうされます?相続を承認されますか?」

「あ……」

「琴音さんの遺産のリストがこちらです。目を通して下さい」


渡された紙には、ビッシリと小さな文字が並んでいた。その中で目に付いたのが、遺言書にも書かれていた店舗兼自宅ビル。


自宅……


それは住む所が無くなった私にとって、魅力的なモノだった。


「あの……相続すれば、このビルに住めるんですか?」

「はい。生前、琴音さんはよくおっしゃってました。ここで娘と一緒に暮らしたいと……鈴音さんがここに住んで下されば琴音さんも喜ぶと思いますよ」

「お母さんが、そんなことを?」


素直に嬉しかった。離れていても私のことを想ってくれてたんだ……


初めて感じる母の愛。


「します!相続します!で、ここに住みます!」


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