そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
意味が分からないという顔をしたイケメン弁護士に深々と頭を下げ別れると、会社に向かう。
相変わらずドアの代わりに貼り付けてあるのは段ボール。ソレを外して中に入り、社長が粗大ゴミの中から拾ってきたというボロソファーに倒れ込むように座る。
「ふぅ~……あ、そうだ!」
あのお金……
私はお母さんのバックから財布を取り出し、暗闇の中で札束を数えてみる。すると……
「48、49、50……50枚。ってことは、50万……えっ!50万?」
一瞬、全身に鳥肌が立った。
不動産屋さんに請求された金額も50万。ここにも丁度、50万ある。これは偶然なんだろうか?もしかして、死んだお母さんが私を助ける為にこのバックを私の元に届けてくれたのかも……
そうだ。そうに違いない。
「あ~ん……天国のお母さーん、ありがとー!」
札束を胸に抱き、暫し号泣。
明日、朝一でこれを不動産屋さんに持って行こう。これで逮捕されずに済む。晴れて私は自由の身だ!
そして罪人返上となれば、私とイケメン弁護士の恋は禁断ではなくなるんだ!!あ、イケメン弁護士との出会いも偶然じゃなくお母さんが引き合わせてくれたとか?
ならば、お母さんの好意を無にせぬよう頑張らねば!
よっしゃ~!!明日からイケメン弁護士に猛アタックだ!彼となら刺激的な大人の恋が出来そう~。
「うひぃひひひ……」
暗闇の中に響き渡る自分の笑い声が何気に気味悪い。
でも、なんだか安心したら急に眠くなってきた……今日は色々あったからな……疲れちゃった……
そんじゃ、天国のお母さん、私の恋を見守っててね……おやすみなさい。