そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

しかし、抵抗も空しく私はイケメン弁護士に引きずられ喫茶店を後にする。そして、そのまま彼の車に乗せられた。


「聞きたいことがあれば私がお答えします」

「おこちゃ……いえ、陸さんがどうしてここに居るんですか?」


興奮気味に訊ねる私とは対照的に、相変わらずポーカーフェイスで淡々と答えるイケメン弁護士。


「彼がここに居るのは当然です。ここは彼の家なのですから」

「はぁ?家?なんでここが彼の家なの?お母さんの家でしょ?」

「はい、琴音さんの家ですが、彼の家でもあるんです」


まさか……それって、同棲してたってこと?お母さんとおこちゃま詐欺師野郎はデキてたの?じゃあ、あの男の子は……


顔面蒼白で呆然。


「鈴音さん、何か勘違いしてませんか?琴音さんと陸はいかがわしい関係ではありませんよ」

「へっ?そーなの?」

「当然です。二人がそんな関係だったら大爆笑です」


へぇ~この人でも大爆笑することがあるんだ……でも、いつも冷静なイケメン弁護士の大爆笑、ちょっと見てみたい気もする。なんて思ってると……


「陸は鈴音さんのお兄さんの友人で、琴音さんとも昔から交流がありましたからね。」


―――と意外な繋がりが明らかに!


「あの人、お兄ちゃんの友人なんですか?」

「はい、しかし現在はお兄さんとは音信不通みたいですが……」

「……そうですか」

「そんな縁で空き部屋を借りてここに住んでいるのです」

「じゃあ、ここに奥さんと子供……三人で住んでるんだ……」


複雑な気持ちでボソッと呟くと、イケメン弁護士から予想外の言葉が返ってきた。


「陸は独身ですよ」


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