そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「だから鈴音さんも適当でいいんですよ。それに、彼らが支払う占いの報酬はかなり高額です。その報酬がなかったら鈴音さんも困るのではないですか?」
「私が……困る?」
なぜ?お母さんの遺産があるから別に困らないと思うんだけど……
余裕の私にイケメン弁護士が探るように聞いてくる。
「借金はどうするのですか?」
借金?もしかして、あのマンションの50万のことを言ってるのかな?
「あぁ、あれはもう大丈夫です。実は、お母さんの財布の中にあった50万で綺麗サッパリ支払っちゃいました。だからもう借金はありません」
笑顔でそう言うと、彼の顔が更に険しくなる。
「私が言っているのは、琴音さんの借金のことですよ」
「……お母さんの借金?なんですか……それ」
「昨日、鈴音さんに琴音さんの資産リストをお渡ししましたよね。そちらに借金のことも記載されてたはずですが……」
うそ!!そんなの見てない!!
慌ててバックから資産リストを取り出しガン見。すると、一番最後の欄に銀行より借入五千万円と書かれていた。
ご、五千万?そんなぁ~……最後までちゃんと見てなかった。
「でも、遺産相続って、借金は関係ないんじゃないんですか?」
しかし、イケメン弁護士は容赦なくそれを全否定。
「遺産を相続するということは、その方の借金も相続するということです」
「うっそー!借金なんていらないよ~。あ、そうだ!私もお兄ちゃんみたいに相続を放棄する。そうすれば借金も払わなくていいんでしょ?」
我ながらグットアイデアだと思ったのに……
彼は大きく首を振り、衝撃的な言葉を口にする。
「残念ながら、鈴音さんは遺産放棄は出来ません」