そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「なんで?なんで?」
納得出来るワケがない。お兄ちゃんに出来て、どうして私は出来ないの?
「鈴音さんは今、自分の借金を琴音さんの遺産である財布の中の現金で支払ったと言いましたよね?」
「……確かに」
「民法921条の1
相続人が相続財産の全部、又は一部を処分した時は、単純承認をしたものとみなす。と法律で決められているのです」
はぁ?はぁ?法律のことなんか言われても分かんないよー!!
「単純承認って何?」
「単純承認とは、相続人の鈴音さんが、被相続人である琴音さんの財産の権利義務を全面的に承認するということです。
遺産を使ってしまった場合には、単純承認したものとみなされ"無期限に被相続人の権利義務を承認する"ということになります。
なので、琴音さんの財産を使ってしまった鈴音さんは、無期限……つまり一生、遺産放棄は出来ないのです」
「ひぇ~っ!!!」
どエラいことになった……五千万の借金なんて、返せるワケがない。
「こうなったら、やっぱ、石油王の第3夫人か……?」
「ほぅー、石油王に求婚されてるのですか?」
「売り飛ばされた先で出会う予定なんです……」
ショックのあまり、妄想と現実がごっちゃになり自分でも何を言ってるのかよく分かんない。
「ご安心下さい。売り飛ばされなくても借金の返済は可能です」
「えっ……マジ?」
優しく微笑むイケメン弁護士の目がキラリと光った。
「琴音さんの後を継ぎ、占い師になれば……」