そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
返す言葉がない。取り合えず迷惑掛けたのは確かなようだし謝っておくか……
「ごめんなさい」
「で、お前、ここに住むんだよな?」
「あ、うん。一応、お母さんの遺産を相続したから……あなたもここに住んでるんですよね」
「あぁ、夜は琴音さんが占いで忙しくて店に出れないから手伝ってくれって頼まれたんだ。
でもチビが居るから手伝えないって断った。そうしたら、家賃は要らないからここに住んでチビの面倒見ながら店を手伝ってくれればいいからって……で、ここに住むようになった」
「あぁ~そうか!だから6時までに帰らなきゃいけなかったんだ……」
「保育園のお迎えが6時だからな」
なるほどね。門限が6時のおこちゃま詐欺師野郎じゃなかったんだ……もう彼をそう呼ぶのやめた方がいいのかな……
でも、なんだか仕事してる時の彼とは別人みたい。とても穏やかな優しい目をしてる。
「一人で育ててるんだよね?大変じゃない?」
「あぁ……でももう慣れたよ」
そう言って笑った顔がどこか寂しげで、それ以上突っ込んで聞くことが出来なかった。
「それで、どうする?お前が店をやるのか?一人で出来るなら俺はここを出て行くぞ」
「えっ?私が?そんなの無理ですよー経験ないし……」
いっそのこと喫茶店を閉めてしまおうかと言った私に、彼が「それは出来ないだろう」と苦笑いする。
なんでも、ここで占いをしてることは世間には秘密で、人が出入りしても怪しまれないように喫茶店を隠れ蓑にしていたそうだ。
「平家の秘密結社だから?」
「だな……」
はぁ~……めんどくせ~