そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「私は二階堂君を押しているんだが……どうだろう?」

「えっ?あ、あぁ……それでは占ってしんぜよう」


イケメン弁護士に教えられた通り水晶玉に手をかざし、いかにも占ってますってポーズ。でも、もちろん水晶玉からはなんのお告げもない。


「見えました……」

「おぉ!で、どちらが適任かね?」

「水晶玉は、留吉さんにするべきだと言っています」


いじめっ子のユウキより、お菓子をくれたトメキチじいちゃんの方がいいに決まってる。


「……山田君か……」

「不服そうですね?」

「あ、いや……山田君は仕事は出来るが、ちょっと社交性に欠けるところがあって……それに比べて二階堂君の方は部下からの信頼も厚いからねぇ……」


そりゃ~トメキチじいちゃんは偏屈で気難しいとこはあったけど、私には優しかった。ユウキは明るくて皆の人気者だったけど、陰で年下をいじめる根性くさりだ。


「このお告げを信じるかどうかはあなたの自由です。でも、留吉さんは無骨ですが心根の優しい律儀な人です。きっと会社の為に尽くしてくれるでしょう。

それに引き換え勇樹は……あなたは勇樹の本性を知らない」


イカれたおっちゃんが私の言葉に驚き目を見開く。


「本性ですか?」

「そう、ヤツは外面がいいだけの性悪男です」

「なんと……それは本当かね?」

「本当ですっ!!きっと勇樹は何か良からぬことを企んでいるはず……気を付けなさい」


すっかり預言者になりきり熱く語る私を尊敬の眼差しで見つめるイカれたおっちゃん。


なんか、めっちゃ気分がいい!


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