そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「分かりました。専務は山田君にしましょう」
「賢明な選択です。これであなたの会社は更に発展するでしょう」
嬉しそうに頷いたイカれたおっちゃんが懐から白い封筒を取り出し私の前に置く。
「有難う御座います。これはほんの気持ちです。お納め下さい」そう言うと深々と頭を下げ、大満足で帰って行った。
「ふーん……占い料か?」
どうせ数千円だろうと思いながら封筒の中を覗いてみたら……
「ゲッ!!10万円?あんな適当な占いで10万も貰えるなんて……占い師って、なんて美味しい仕事なんだ……」
私の中で占いに対する認識が大きく変わり、邪(よこしま)な考えが脳裏を過る。
1日1人占ったとしても1ヶ月で30人。と言うことは……300万になるってことだよね?ほんの数分、それらしいことを言うだけでお金がザクザク入ってくるんだ。
断然ヤル気が出てきてテンションマックス!
占い部屋を飛び出し店内でコーヒーを飲んでくつろいでいたイケメン弁護士に向かって大声で叫ぶ。
「私、占い頑張ります!だからどんどんお客さんを取って下さい」
「そうですか。それは良かった。では、平日の夜も予約を入れることにしましょう」
「はい!宜しくお願いします」
よっしゃ~!占いしまくって借金返すぞー!とガッツポーズをしたところで、ふと思う。
「でも……弁護士先生はどうしてそんなに親身になってくれるんですか?相続のことはお母さんに頼まれていたからだろうけど、もう死んじゃったし契約は切れてるでしょ?
なのに占いの予約取りまでしてくれるって……どうして?」