そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
飲みかけのコーヒーをカウンターの上に静かに置きイケメン弁護士が優しく微笑む。
「確かに琴音さんが亡くなり顧問契約は解除になりましたが、新たな契約が発生しました」
「新たな契約?ですか?」
「はい、琴音は鈴音さんのことをそれはそれは心配されていました。あの遺言書を書かれた時、もし自分に万が一のことがあったら、鈴音さんの力になってやって欲しいと一年分の費用を前払いして下さったのです。
ですから私が鈴音さんのお世話をするのは当然のこと。仕事ですから……」
「なるほど……」
その話しだけ聞けば、子を想う母の深い愛を感じる。でも……
「莫大な借金を残しておいて心配とか言われてもなぁ~」
納得いかないよ。
「それは、琴音さんもまさか自分がこんなに早く亡くなるとは思ってなかったからでしょう。彼女にとって五千万の借金は有って無いな物。数年で返済出来ると考えていたんだと思います」
確かに占いをしていれば、五千万なんて直ぐに返せるかもしれない。そうだよね。娘に借金を押し付けるつもりなんてなかったんだよね。
一瞬でもお母さんの愛を疑ってしまったことを激しく後悔してると、イケメン弁護士が妙なことを言ったんだ……
「私が鈴音さんのお世話をするのは、琴音さんから依頼されたからだけではありません」
「えっ?他にも理由があるんですか?」
「えぇ……仕事とは関係なく個人的に鈴音さんの側に居たいと思ったからです」
個人的?それって……まさか……