そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
私はユミちゃんに感謝しながら夢中でオムライスを食べた。
お母さんの本当の手料理を食べることは叶わなかったけど、お母さんが私に食べさせたいと思ってくれていたオムライスを食べることが出来たんだ。
完食したお皿を見つめながらユミちゃんにお礼を言うと、彼女は「お礼を言わなきゃいけないのはあたしの方……」と目を伏せた。
「琴音ママが居なかったら、あたしはシャブ中でボロボロになって野垂れ死にしてたと思う」
さっきまでの笑顔は消え赤い唇が微かに震えてる……
「あたしね、17で家出して援交してたら悪い男に騙されちゃってクスリ漬けにされて……
クスリ欲しさに借金して、それでもお金足りなくてソープで働こうかって迷ってた時、たまたまこの喫茶店に入って琴音ママと出会ったんだ。
で、琴音ママと話してたら凄く楽しくて、あたし……久しぶりに笑ってた。それで愚痴のつもりで身の上話しとかしちゃったんだよね。
そうしたら、琴音ママがすっごく怒って、そんなとこで働くくらいならここで働けって……部屋まで貸してくれて借金の肩代わりもしてくれた。
でもあたし、自分の借金だけはどうしてもちゃんと返したくて、昼はここで働いて、夜は琴音ママの知り合いの人がやってるキャバクラで働かせてもらってるんだ」
まるで絵に描いたような転落人生。そして、心温まる感動物語。お母さんの優しさとユミちゃんの健気さが涙を誘う。
ユミちゃんに比べたら私のワケ分かんない人生なんて可愛いモノだ。十二単のコスプレしてインチキな占いをすればいいだけだもん。
「立派です!ユミちゃんさん!」