そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎男心は理解不能
――――ビックワールドカンパニー
「おい!聞いてるのか?」
「えっ?あ、なんでしたっけ?」
「……ったく、いい加減にしろよ?ボーッっとして……新商品のパッケージどれにするんだ?ちゃんと考えろ!」
仕事が終わる時間ギリギリに会社にやって来た陸さんが私のデスクの上にドッカリ腰をおろし怒鳴っている。
おっぱいチョコの商品名も"魅惑のおっぱい"と決まり、後はパッケージを数点の候補から選ぶだけになっていた。
私が考えた商品だからパッケージは私の好みで選んでいいと社長が言ってくれたんだけど、今の私はパッケージどころじゃなかった。
実は……今からデートなんだ……
デートと言っても、相手は会ったこともない見ず知らずの男性。
一刻でも早く処女を捨てたいとユミちゃんに頼み込み彼女が勤めてるキャバクラのお客さんを紹介してもらったんだけど……
ホントにこれで良かったのかと不安になる。でも、ここで一歩踏み出さないと何も始まらない。全てはイケメン弁護士をゲットする為だ。
「じゃあ、コレでいいです」
一番近くにあった見本のパッケージを適当に指さし、虚ろな目で宙を見つめため息を付く。
あぁ~もうそろそろ行かなきゃ……だ。
「なんだ?今日は元気ないな。……生理か?」
「いえ……安全日です」
「ふーん……」
「あの……私、今日は用事があるから帰りますね」
「えっ?帰るのか……?」
ポカンとしてる陸さんを置き去りにし、会社を後にすると約束の場所へと急ぐ。