そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
呆然と女性を見つめている私の横で強面のおっちゃんが「申し訳ありません。女王様~」と叫びながらいきなり土下座した。
へっ?女王様?この人、どっかの国の女王様なの?
床にムチを打ちつけながら近づいて来る女王様の迫力がハンパなく、思わず私もつられて強面のおっちゃんの横に座り頭を下げていた。
「……姫、どうしてあなたが土下座するんですか?」
「えっ?どうしてって……女王様なんでしょ?」
「この方は、自分だけの女王様です」
そう言った強面のおっちゃんの顔が、なんかめっちゃ嬉しそうで幸せ一杯って感じ。
「コソコソ話してるんじゃねーぞ!この豚野郎が!!この私を待たせるとはいい度胸してるじゃないか!お前も偉くなったな~」
「とんでも御座いません!自分はただの豚野郎です。どうかこの豚野郎に愛のムチでお仕置きを~」
な、なんだ……この会話は……
「バカヤロー!!このムチに愛などないわ!!自惚れるなぁー!!」
―――バシッ!!
「うぐっ……う、嬉しゅう御座います……女王様……もっとお仕置きを~」
ムチでぶたれたのにウットリした目をして恍惚の表情を見せる強面のおっちゃんに絶句!
「よし!部屋で可愛がってやる。来い!」
「はい!女王様!」
この特殊な状況を理解出来ず放心状態でボーッとしてる私に、強面のおっちゃんが去り際、ボソッと言った。
「姫……そこに転がってる男のことはご心配なく。どうぞお帰り下さい。それより、今見たことは内密に……」
まるで飼い主に纏わりつく子犬のように女王様の後をついて行く姿は、さっきジョーを失神させた人と同一人物とはとても思えない。
どっちが本当のおっちゃんなの?