そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
「来い!!」
乱暴に車に押し込まれたと思ったら、凄い勢いで急発進する車。
後部座席でヒリヒリ痛む頬を押さえ少し冷静になって考えてみた。
一連の流れからして、イケメン弁護士が怒っているってことは理解出来る。でも、その理由が分からない。だから叩かれた理由も分からない。
「…これって、どういうことなんでしょうか?」
後部座席から身を乗り出し訊ねるがイケメン弁護士は黙ったまま何も喋らない。でもその時初めて助手席に陸さんが乗っていることに気付いたんだ。
「陸さんまで……どうして?」
気だるそうにタバコに火を点けた陸さんが、隣のイケメン弁護士をチラッと横目で見ながらため息を付く。
「お前がバカなことするから宅磨は怒ってんだよ」
「バカなこと?」
「バカなことだろ?経験ないくせに知らない男とヤろうなんて、何考えてんだ?」
うそ……全部バレてるってこと?そんなぁ~一番知られたくない人にバレちゃったー!!
「で、シたのか?」
「シてない!シてない!なんもシてないよー!!」
慌てて否定すると、ようやくイケメン弁護士が口を開き「本当か?」と低い声で聞いてきた。
「ホントです!」
「……信じて……いいんだな?」
「はい。でも、なんでそのことを……」
何度聞いてもイケメン弁護士はそれ以上何も話そうとはせず、口を真一文字に結び私を見ようともしない。
それでもしつこく食い下がっていると、見かねた陸さんが事の真相を話してくれたんだ。