そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「えっ?」
「俺が処女に興味ないって言ったからか?」
その問いに対する答えは間違いなくイエスだ。けど、素直にそう答えることを躊躇してしまった。だって、そんなこと言ったら私が陸さんのことが好きだと勘違いされそうだったから……
「半分は、そうです。」
中途半端な私の答えに陸さんが眉を顰める。
「半分って、なんだそれ?さっきは宅磨が居たから聞けなかったけど、俺のせいであんなことしたんだと思って、一応、責任感じてたんだよな……」
うわっ!やっぱ勘違いしてるじゃーん!
「違いますって!陸さんの言葉がきっかけにはなりましたが、他にも色々事情があって……私が処女を捨てようと思ったのは、陸さんの為なんかじゃない……」
「ふ~ん……俺の為なんかじゃない?じゃあ、誰の為だ?……もしかして……宅磨の為か?」
ゲッ!す、するどい!
アタフタしてる私を陸さんがシラ~とした目で見つめながら残っていたコーヒーを飲み干し小さなため息を付く。
そして、短い沈黙の後
「宅磨はやめとけ……」そう言ったんだ……
「えっ?」
「何がどうなって宅磨の為にそんなことしようとしたかは知らないが、これは忠告だ。宅磨のことは好きになるな。好きになれば、お前は間違いなく不幸になる」
陸さんの顔は真剣で、冗談で言ってるんじゃないってことは分かった。けど、なぜ?
「理由は?好きになっちゃいけない理由を聞かせて!」
納得出来ずムキになって叫んだが、陸さんはそれ以上何も言ってはくれなかった。