そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
チビちゃんを抱きながら部屋の中を何周しただろう……。30分ほど経ちようやく泣きやんでくれた。自分のベットにソッとチビちゃんを寝かせヘナヘナと床に座り込む。
こんなに小っこいのに、意外と重いんだ……腕が痺れてパンパンだよ~
でも、睫毛を涙で濡らしたままスヤスヤ眠るチビちゃんを見てると、なんだか凄く可愛くて自然に笑みが零れる。
これが母性本能ってやつか?なんて思いながらチビちゃんの頭を撫でていると、部屋のドアが静かに開きユミちゃんが顔を覗かせた。
「鈴音っち、ごめんね……」
「あ、ユミちゃんさん、陸さんは?」
「それがさぁ、陸君、寝ちゃって……」
はぁ?寝た?私が必死こいてチビちゃんを寝かせつけてる間に気持ちいいことしといて、挙句の果てに寝ただと?ふざけんな!って感じだ。
ムッとしてる私を見て悪いと思ったのか、ユミちゃんが申し訳なさそうにパジャマの裾を引っ張ってくる。
「あたしがチビちゃん連れてくよ。ホント、ごめんねー」
「もう……いいですよ。今動かしたら起きちゃうかもだし、ここに寝かせときましょう」
そうだよ!せっかく寝たのにまた泣かれたら堪らない。私の苦労が水の泡だ。
暫し二人でチビちゃんの寝顔を眺め苦笑い。
「なんか目冴えちゃったね~」
ボソッと呟いたユミちゃんの言葉にコクリと頷くと、嬉しそうに笑った彼女が「じゃあ、オールで喋っちゃう?」って、私の隣に腰を下ろした。
特に何を話すってワケじゃない。いわゆる雑談だ。でも、その雑談が凄く楽しかった。
だって、私……
「同い年の女の子と、こんなにいっぱい喋ったの初めてかも……」
「えっ?初めてって……学校の友達とか居たでしょ?」
「うぅん……私が生まれ育った平島には同級生は居なかったから……」