そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

ビックリ仰天顔で私を見つめるユミちゃん。


「同級生が居ないって……ソレ、マジなワケ?そんじゃあ、タメの女子の友達居ないの?」

「友達……居ませんねぇ……」


そう言った後で思い出した。


違う……友達……一人だけ居た。でもそれは、もう15年以上も前のことだ。



――――回想。その3


まだ私が小学校に上がる前の夏。隣のトメキチじいちゃんの家に本土からお客さんが来た。30代くらいの女性と子供が三人。男の子二人と女の子が一人だ。


女性はトメキチじいちゃんの娘だったんだろう。じいちゃんのことを"お父さん"と呼んでいた。


そして、一人の男の子と女の子は兄妹で、確か女性の子供……だったと思う。もう一人の男の子はいとことか言ってたような……


男の子達は私より少し年上だったから、あんまり覚えてないけど、女の子は私と同い年。だからよく覚えてる。


名前は……そう!菜月(なつき)ちゃんだ。


ウチのばあちゃんとトメキチじいちゃんは仲が悪かったから、ばあちゃんはその子達と遊ぶのを快く思っていないようだっけど、私は初めて出会った同い年の女の子、菜月ちゃんと遊びたくてコッソリ家を抜け出しては菜月ちゃんと遊んでいた。


女性に連れられ海や川で泳いだり、裏山の探検をしたり、私の記憶の中で一番楽しかった夏だったなぁ……


でも一週間後、菜月ちゃんは明日帰ることになったと言ったんだ。寂しくて悲しくてションボリしてる私に、菜月ちゃんはプレゼントをくれた。


綺麗なガラス玉が付いたキーホルダー。それは、菜月ちゃんのお母さんが作ってくれたもので、自分は二つ持ってるから私に一つあげると……


「お兄ちゃん達も持ってるから全員お揃いだね」


そう言って笑った菜月ちゃんの笑顔を私は今でもハッキリ覚えてる。


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