そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「彼のどこが優しいんですか?」
疑問いっぱいの眼差しでそう言うと、今までケラケラ笑っていたユミちゃんが急に真顔になり、私の顔をガン見しながら言う。
「分かんない?陸君の優しさ?」
残念ながら……「全然!」
「まぁ、鈴音っちはまだ付き合い浅いからね~仕方ないか……
彼ね、凄く優しい人なんだよ。あたしがクスリ止められなくて辛かった時、支えてくれたのは陸君だった。
特に何を言うワケじゃなかったけど、側に居て笑ってくれてた。優しい笑顔でアタシを見捨てず見守ってくれたんだ」
「そうなんだ……でも、そんなに優しくていい人なのに、どうして本気で好きにならなかったんですか?」
するとユミちゃんがプッと吹き出し「陸君、いい男だけどさぁ、あたしのタイプじゃないんだよね~」って、またケラケラ笑い出す。
あ、そう……
「そういえば……あの時も……ほら、鈴音っちが初めてここに来た時だよ。あたしがキャバクラから帰って来たら鈴音っちめっちゃ酔っぱらってて、陸君に絡んでだじゃん」
「えっ……そうなの?」
「もぉ~覚えてないの?陸君のことバシバシ殴ったり蹴ったりして、そりゃあ酷い暴れ様だったんだから~」
うそ……私、暴れてたの?陸さんそんなこと一言も言ってなかった……
「で、何を思ったか、鈴音っちったら急に服を脱ぎ出して、陸君が止めるのも訊かず外したブラを放り投げたの」
自分で脱いだとは聞いていたが、そんなに大胆に脱いでいたとは……
「で、慌てた陸君が後ろから鈴音っちの胸を手で覆って必死で隠してたんだよ。その間も鈴音っちったら陸君に肘鉄くらわしたりして、凄かった。
20人以上も居たおじさん達に胸見られなくて済んだのは陸君のお陰。感謝しなきゃ~だね」
そうだったんだ……私の胸揉んだなんて言ってたのは、隠す為だったんだ……